2024/02/02 19:01
梅の木のつぼみもほころび始め、春の訪れを感じる今日この頃、みなさんいかがお過ごしでしょうか。激しい寒暖差と舞い飛ぶ花粉が悩ましい時期でもありますので、どうぞ体調にはくれぐれもご用心ください。
さて、暦の上でも2月4日は立春と言うことで春のスタート。二十四節気では新年となり、大晦日に当たる前日の2月3日は節分です。そもそも節分(せつぶん・せちぶん)とは各季節の始まりの日(立春・立夏・立秋・立冬)の節目に当たる前日のことを指すそうで、立春前日の節分のみが年越し行事として残ったようです。

節分と言えば「鬼は外、福は内」の豆まき。子どもの頃は一升枡(いっしょうます)に大豆を入れて、見えない鬼に向かって盛大に豆を投げつけたものです。それから、イワシの頭を串刺しにした割り箸にヒイラギの葉を輪ゴムで留めたナゾの物体を母から手渡され、戸口の隙間に刺して回った記憶もあります。このナゾの物体は「柊鰯(ひいらぎいわし)」または「焼嗅(やいかがし)」と言って、ヒイラギの葉で目を、焼いたイワシのニオイで鼻を攻撃する鬼除けグッズなんだそうです。
最近の住宅事情からすると、ナゾの鬼除けグッズはさることながら、マンションの共有部分を豆だらけにするわけにはいかず、見えな場所に入り込んでしまう豆の掃除も気が重いので、豆まき自体しないご家庭が多いのかもしれません。その代わりに、恵方を向いて無言で食べると願い事が叶う「恵方巻」が採用され、毎年どっちを向いて食べればよいか気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。甲辰(きのえたつ)の今年は、「東北東のやや東」が恵方です。今はスマホのアプリで方角を調べることができるので大変便利ですが、スマホが無かったころは方位磁針(コンパス)を使って調べるしかありませんでした。子どもの頃は近所の文房具店に行けば必ず置いてあるものでしたし、家には常にいくつか転がっていました。

方位磁針は地球の磁石のような性質(地磁気)を利用した道具で、針に磁気を帯びさせることで南北を指し示すことが可能になります。地球の内部に大きな棒磁石があることをイメージすればわかりやすいでしょう。北極の近くにS極、南極の近くにN極があって、磁石は異なる極どうしが引き合うので、方位磁針のN極は北を、S極は南を向くわけです。地磁気が発生するメカニズムは未だよくわかっていないようですが、実はこの地磁気は時間と場所によって常に変化しているそうで、地図上の南極や北極とは大きくずれています。これを偏角(へんかく)と言って、現在日本では最大で北海道中頓別町で西向きに約11.2度、最小は南鳥島で西向きに約0.2度傾いているそうです。細かい話は抜きにしても、地球に磁力があることを発見し、それを感知するセンサーとして方位磁針を発明したことがその後の世界を大きく変えたことに間違いありません。

ちなみに、磁石にN極とS極があることに気づいたのは約2千年前の中国人で、方位磁針の原型となったものは3世紀ごろから使われていたそうです。魚をかだどった木片に磁石を埋め込み、水に浮かべると頭が常に南を向く仕組みで、「指南魚」と言います。当時の最先端科学技術を、さらっと風流なデザインに落とし込むセンスはお見事です。ご家庭にある縫い針に磁石をこすりつけ、小さな木の葉や発泡スチロール片に乗せて水に浮かべると南北を示すので、今年の恵方は手作り方位磁針で確認してみるのも一興かもしれません。
<参考>
