2024/04/12 20:45

※内容に震災を想起させる画像が含まれますので閲覧にはご注意ください。

あの日から8年

2016年4月14日21時26分、熊本県熊本地方でマグニチュード6.5の地震が発生し、熊本県益城町で震度7を観測。同月16日1時25分にはマグニチュード7.3の地震が発生し、益城町及び西原村で震度7を、熊本県を中心にその他九州地方の各県でも強い揺れを観測。

私は、14日は福岡県柳川市の自宅で眠れない一夜を明かし、16日は福岡市から熊本方面に向かって九州自動車道をタクシーで移動中でしたが、幸いなことに大きな被害には遭いませんでした。

あの日からもう8年が経つんですね。

今度こそ逃げない

あれはちょうど、ゴールデンウィークに野宿しながら自転車でどこまで行けるか九州の沿岸を走ってみようと計画し、旅に必要なものを揃えていた時の出来事でした。1995年に阪神淡路大震災、2004年に新潟県中越地震、2011年に東日本大震災。そして、前年の2015年にはネパールで大きな地震がありました。いずれも自分と縁の深い場所で起きたにも関わらず、「遠すぎる」と言う理由をつけてテレビの画面越しに手をこまねいているだけでした。

でも今度は、目の前に見える山の向こうで大変なことが起こっているのです。これで予定通り自転車旅行などに出かけてしまったら一生後悔するに違いない。そう思って、旅のために貯めていたお金で、小さな中古のオートバイを買い、熊本に入ったのが私にとって最初の災害ボランティアでした。

大変なことになってしまった

あの時の被災地の光景と自分が受けたショックは、今もなお忘れることはできません。土埃が舞う変わり果てた街をオートバイで走っていると、垂直に立っているものが何もなく、平衡感覚が失われ、異世界に迷い込んでしまったような錯覚に陥りました。

次第に気が遠くなっていくような感覚を覚え、渋滞する国道沿いに見えたガソリンスタンドに入り、おもむろにタンクキャップを外すと、「満タンでよか?」と言うトーンの高い声がヘルメット越しにはっきりと聞こえ、ふっと我に返りました。給油口を覗き込むおじさんの後頭部に何気ないいつもの日常を見て、自分がまぎれもない現実の世界に居ることを認識しました。

「本当に大変なことになってしまったんだ。。。」

何か取り返しがつかなくなったような、なんとも言えぬ残念な気持ちになり、胸が痛くなりました。
そう、災害は戻ることのできない現実なんですよね。


「日常」は誰にも止められない

それから10月まで、週末や休日を利用してボランティアに通いました。ニーズの内容も依頼件数も日に日に変わっていきましたが、そこには常に「日常」がありました。私にも、被災地の方々にも。当たり前のことかもしれませんが、災害が起きる前も、災害が起きた時も、災害が起きた後も、日常はずっと続いているんですよね。良くも悪くも「日常」は誰にも止めることはできないと言う現実を知った気がします。

災害は決して異世界の話ではなく、望むと望まざるとにに関わらず誰の人生にも起き得る、現実世界の出来事の一つだと言えるでしょう。便宜上、平穏な日常を「いつも」と呼び、望ましくない日常を「もしも」と呼んで区別しますが、いずれも境界や基準などない連続した一つの「日常」であることに違いは無いんですよね。

種三郎商店が目指すもの

前触れもなく突然始まる、危険で過酷な「日常」をどうやって生きればよいのか。そのための「知恵」を種三郎商店は発信していきたいと考えています。良い例えが見つかりませんが、「日常」を自動車に例えるなら、シートベルトやエアバッグではなく、種三郎商店はブレーキやヘッドライトのような物をみなさんにお届けしたいのです。

ちょっと何言ってるかわからないですか?(笑

種三郎商店はこれからも、発災前から発災後まで続く日常生活において、危険を回避しつつ、生活の質を落とさずに過ごすための「知恵」が盛り込まれた逞しい商品を追い求め、それを一つでも多くお届けすることで、みなさんの健康安全、取り巻く環境に貢献していくことを目指します。

最後になりましたが、熊本地震の被害によって犠牲となられた方々に哀悼の意を表するとともに、御遺族の皆さまにお悔やみを申し上げます。また、被災された全ての方々に心よりお見舞いを申し上げます。