2025/04/25 17:12
4月23日から今年度の「熱中症警戒アラート」の運用が始まりました。「熱中症警戒アラート」とは、「暑さ指数(WBGT)」に基づき、熱中症の危険性が極めて高いことが予測される場合に、暑さへの「気づき」を呼びかけるものです。気象庁と環境省とが共同で発表し、環境省の「環境省熱中症予防情報サイト」に掲載されます。特に暑さを感じにくい高齢者や、暑くても回避行動がとれない乳幼児などを守るのに有効なシステムだと思います。

日本生気象学会:「日常生活における熱中症予防指針」Ver.4 より
「熱中症警戒アラート」発令の決め手となる、この「暑さ指数(WBGT)」。近年の地球温暖化による災害や、猛暑による人名被害などを受けて開発されたものかと思いましたが、実は1954年(昭和29年)にアメリカで提案された指標だったんですね。サウスカロライナ州にある海兵隊新兵訓練所で、熱中症のリスクを事前に判断するために開発されたそうです。詳しい「暑さ指数(WBGT)」の観測、算出の方法を知りたい方はコチラをどうぞ。
日本への導入は、1994年(平成5年)に発表された(財)日本体育協会「熱中症予防の原則およびガイドライン」の中で、スポーツ活動中の熱中症事故予防のために「暑さ指数(WBGT)」に基づく判断基準が示されたのが最初のようです。アメリカで提案されてから、ちょうど40年後のこと。どうりで馴染みが無いわけです。私は小学5年生から高校3年生までサッカーをしていましたが、「熱中症」と言う言葉さえ聞いたことがありませんでした。夏の炎天下で走り込むのは当たり前でしたし、日陰に入ることも、水を飲むこともNGでした。余計にだるくなるとか、試合に耐えられなくなるとかが理由で、倒れたりしたら、気合が入ってないとか、根性が足りないとか。。。。(苦笑

「心頭滅却すれば火もまた涼し」なんて言葉を知ったのも、恐らくこの頃に顧問の先生から聞いたのが最初だったかもしれません。いやいや、心頭を滅却すること自体が難しそうでムリでしょ。そもそも、心頭って何よ?それに、心頭を滅却した状態でサッカーできるのか?なんてブツブツ言いながら、トイレでこっそり水を飲んでは、口の周りを砂のファンデでお化粧したものでした。
「心頭滅却すれば火もまた涼し」
この言葉の語源は、今から千年以上前、唐代の詩人「杜荀鶴(とじゅんかく)」が書いた「夏日題悟空上人院」の一節に見られます。

真夏でも、悟空上人は戸を閉めて僧衣をきちんと着ている
その上、部屋や廊下に木陰を作る松や竹の樹木もない
座禅修行に励むにのに、山や川が必須と言うわけではなく
無心になれば、火でさえ自然と涼しく感じられるものなのだろう

乾徳山恵林寺
日本では、山梨県にある武田信玄の菩提寺「恵林寺」が織田信長の軍勢によって焼き払われた際、快川紹喜(かいせんじょうき)という禅師が、炎に包まれて落命する最後の瞬間に、「心頭滅却すれば、火も自ずから涼し」と唱えたそうです。夏の暑さと炎の熱さを同じに語れるほど、禅の世界を極めた快川紹喜。濡れた口の周りにコソコソとグランドの砂を塗り付けていた自分が恥ずかしくなります。ただ、「命あっての物種」とも言えるわけで、やはり無理は禁物です。私たちは「暑さ指数(WBGT)」を上手に活用して、今年の夏も乗り切りましょう!
種三郎商店の新商品「兼備生活扇風機」は、暑さ指数(WBGT)リスクランプが搭載されています。3段階の危険度をランプで表示しますので、テレビやネットからの情報を得る前に気づくことができます。